相続コラムcolumn

不動産贈与における配偶者特別控除【注意点】

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こんにちは、税理士の藤本尚士です。

前回、不動産贈与における配偶者特別控除における基本事項について述べました。

 

同制度は非課税枠も大きいことから魅力的に見える制度ですが、注意すべき点もあります。活用の仕方を誤ると、余計な手間がかかったり、トータルでの税金が高くなってしまったりする場合もあります

贈与税の配偶者控除の注意点については本コラムで詳しく解説するので、無駄のない相続税対策に役立ててください。

 

不動産贈与における配偶者特別控除の概要

不動産贈与における配偶者特別控除」とは生前に贈与した財産のうち、居住用の不動産もしくはその購入に要する資金であれば2,000万円まで非課税となる制度です。

特定贈与財産」とは、夫婦間で財産の贈与があったときに前述の配偶者控除制度が適用された財産のことです。

 

制度利用における注意点

(1)税額に関わらず税務署への申告を行う

同制度は贈与税がかからなくても(0円であっても)税務署に申告書を提出する必要があります

申告期限は贈与が行われた年の翌年2月1日から3月15日までです。

 

(2)贈与回数は1回だけ

同じ配偶者に行える贈与は1回限り有効です。

そのため、居住用不動産の取得資金を数回に分けて贈与しても、配偶者控除が適用されるのは最初の1回だけです。控除額をフルに活用するためには、分割の贈与は避けるべきです。

 

(3)節税効果は低い

控除額が大きいものの、同制度活用による節税効果は低いといえます。

その理由として

  • 配偶者の税額軽減で1億6,000万円までは相続税が非課税になる
  • 小規模宅地等の特例を利用すれば土地の330㎡までの部分は税額計算上の価格を80%減額できる
  • 相続税の基礎控除額は3,600万円以上

があげられます。

要するに、相続税の控除制度にも住宅や住宅資金の課税額を軽減するものがあり、贈与の配偶者控除をわざわざ利用しなくても良いということです。

ただし、全てのケースに当てはまるわけではないので、予想される遺産金額と家族状況をよく考えて適用を検討するべきです。

 

(4)不動産取得税や登録免許税がかかる

配偶者に不動産を贈与する際には不動産取得税や登録免許税がかかります

不動産取得税は価格の4%(2021年3月31日までに取得した土地・住宅については3%)、登録免許税は価格の2%が課税されます。

相続の場合は不動産取得税は非課税で、登録免許税は価格の0.4%課税のため、贈与の場合の方が高くなってしまいます

 

まとめ

一つの制度によって有利になっても他の制度で不利になるケースがよくあります。生前贈与を行う場合は制度の特徴をよく理解した上で、適切な利用を心がけましょう。

 


 

生前贈与または遺産や相続税等、相続手続きのことでお悩みの方は熊本市中央区に拠点を構える熊本不動産相続税相談センターまでご相談ください。

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熊本市を中心に、熊本県全域に対応していますので是非ご相談ください。 初回相談は無料です。

投稿者プロフィール

藤本尚士
藤本尚士
熊本県玉名市出身。不動産相続に強い税理士。

経歴:
2007年 宅建業 エステート九州株式会社設立 代表取締役就任
2011年4月 税理士法人熊和パートナーズ入社・勤務
2014年8月 税理士法人新日本設立、その後、行政書士事務所設立 現在に至る

主な資格:
税理士、行政書士、相続手続相談士、相続診断士、宅建取引士、税務調査士®、不動産投資・運用アドバイザー®、医療経営アドバイザー、医療経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナー(FP)2級