相続コラムcolumn

遺留分侵害額請求権行使の流れについて

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こんにちは、税理士の藤本尚士です。

先月のコラムで遺留分遺留分侵害額請求権の概要についてご紹介しましたが、本コラムでは実際の遺留分侵害額請求権の行使の流れについて詳しく解説いたします。

 

 

遺留分と遺留分侵害額請求について

おさらいとなりますが、遺留分とは相続人に与えられる最低限の権利で、(被相続人の兄弟姉妹を除く)相続人が一定分の遺産を取得できるものです。遺言の効力でも侵すことはできません。
遺留分侵害額請求とは、その遺留分が不当に侵害された場合に、最低限の取り分を請求することです。

遺留分の財産は自動的にもらえるわけではなく、遺留分侵害額請求権を行使する手続きを行わなければなりません

 

遺留分侵害額請求権の行使の流れ

大きな流れは以下の通りです。

遺留分侵害額を請求
侵害された遺留分額に応じて、贈与や遺贈を受けた者に金銭を請求します。②遺留分侵害額の請求調停
相手が遺留分侵害額請求に応じない場合は、調停での話し合いに移行します。

遺留分侵害額請求訴訟
調停で決着できない場合は、訴訟を起こして裁判所に判断を委ねます。

いきなり訴訟を行うことはできず、必ず調停での話し合いをします。
段階を飛ばして訴訟に踏み切ろうとしても、裁判所によって調停手続に回されます。

ただし、請求相手が話し合いを拒んだり、調停での解決が明確に不可能と判断される場合においては、そのまま訴訟手続が開始されることもあります。

 

遺留分侵害額請求調停

調停とは、当人同士の間に裁判官や調停委員を介して話し合いをする手続きのことをいいます。

遺留分侵害額請求について請求された側が応じない場合には、遺留分侵害額請求調停を行なって話し合いをします。

調停までには以下の流れがあります。

申立書の作成
調停における申立ての趣旨と申立ての理由を記述します。申立書は各裁判所でもらうか、裁判所のHPからダウンロードします。②必要書類の用意
申立書のコピー、遺産目録、戸籍関係の書類、登記簿謄本や固定資産評価証明書等の遺産内容を証明する書類、遺言書がある場合にはそのコピー等々を用意します。

裁判所への申立
申立書および必要書類を管轄の家庭裁判所に提出します。

日程の決定
申立が受理されると書記官から連絡があり、第1回期日の日程調整が行われます。日程はおよそ受理からおよそ1ヶ月半から2ヶ月程度後で、平日になります。

初回の調停期日
調停は裁判官1名と調停委員2名が、調停委員会として担当します。申立人と請求された方は交互に調停室に入り、調停委員に主張を行います。(聴取は片方ずつ)

調停終了
期日を数回行い、お互いの合意があれば調停成立となります。合意が得られない場合は、訴訟に移行します。

 

遺留分侵害額請求訴訟

調停が成立しない場合は遺留分侵害額請求訴訟によって判決を裁判所に委ねます。

担当裁判所は請求金額が140万円を超えるか下回るかで変わります。超えるなら地方裁判所、下回るのであれば簡易裁判所となります。

遺留分侵害額請求訴訟の流れは以下の通りです。

調停不成立証明書を提出
家庭裁判所へ調停不成立証明申請書の交付を申請して取得します。②訴状と証拠書類を裁判所に提出
請求する側が請求内容と理由を記した訴状および証拠となる書類を裁判所に提出します。これが受理されると、書類のコピーと裁判への呼出状が請求される側に送付されます。

第1回期日
裁判官から今後の進行や、原告と被告双方に追加してほしい書類等について指示があり、次回期日の日程も決定します。

判決もしくは和解
数回の期日によって、双方の主張に対する認否と反論を書面で繰り返していきます。
途中で裁判官を仲裁役として話し合いの場が開かれることもあり、互いの合意が得られれば和解成立となりますが、不成立の場合は判決によって決着となります。

 

まとめ

遺留分侵害額請求権行使の流れについて解説いたしました。

遺留分は相続人に保障されている最低限の権利ではありますが、遺産相続によってその権利が侵されることも少なくありません。また、侵害された場合には話し合いでの解決が一番望ましいですが、実際には相手側が素直に応じる可能性が低いとも言えます。
もし遺留分を侵害された場合には専門家に依頼をして、今後の対応についてアドバイスを受ける方が良いでしょう。

 


 

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投稿者プロフィール

藤本尚士
藤本尚士
熊本県玉名市出身。不動産相続に強い税理士。

経歴:
2007年 宅建業 エステート九州株式会社設立 代表取締役就任
2011年4月 税理士法人熊和パートナーズ入社・勤務
2014年8月 税理士法人新日本設立、その後、行政書士事務所設立 現在に至る

主な資格:
税理士、行政書士、相続手続相談士、相続診断士、宅建取引士、税務調査士®、不動産投資・運用アドバイザー®、医療経営アドバイザー、医療経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナー(FP)2級