相続コラムcolumn

相続における未成年者控除について【計算方法と注意点】

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こんにちは、税理士の藤本尚士です。
前回、相続における未成年者控除についての概要を解説いたしました。

 

相続における未成年者控除とは、20歳未満のいわゆる未成年者が相続人となり遺産を取得する場合において相続税が減額される制度です。

また、未成年の相続人の相続税が控除額を下回る場合、その差し引いた金額を扶養義務者が支払うべき相続税からも減額することもできます
今回は、未成年者控除における控除額の計算例や注意点について解説していきます。

 

相続人の年齢が若いほど大きくなる控除額

未成年者控除の適用により控除される金額は、前回も述べたように
相続人が満20歳になるまでの年数×10万円」です。
数式から見てもわかるように相続人の年齢が若ければ若いほど控除額は大きくなっていきます

尚、20歳に達するまでの年数が1年未満や1年未満の端数があるときには、これを1年として計算します。(端数は切り上げ)

 

控除の仕方

未成年者控除は以下の順番で計算していきます。

①未成年者の相続税額からの控除
②未成年者の扶養義務者の相続税額からの控除

 

【計算例】相続人が未成年者(6歳)の弟と成年者の兄の2人で、それぞれの相続税額が100万円の場合

①未成年者の控除額については(20歳−6歳)×10万円=140万円となるので
未成年者の相続税額は控除額を差し引き100万円−140万円=▲40万円となり
相続税はかからない計算となる。

未成年者控除額が相続税額を上回る場合は、扶養者に当たる相続人の相続税額からも控除できるので、成年者の兄が弟の扶養義務者の場合は

②の未成年者の扶養義務者の相続税額からの控除は▲40万円となり
兄の相続税額100万円-40万円=60万円となる。

 

尚、扶養義務者とは、配偶者、直系血族、兄弟姉妹、家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族です。

三親等内の親族で生計を一にする者については、家庭裁判所の審判がない場合であっても扶養義務者に該当します。

 

成年を18歳に引下げる民法改正との関係は?

成年年齢が18歳となる民法改正法が2022年4月1日に施行予定です。

これにより、未成年者控除の対象も満18歳に引き下げられるのかどうかについては未だ決まっていません。年齢の引き下げがない場合は「未成年者控除」という名称自体が変更になるかもしれません。
尚、母親のお腹の中にいる胎児についても、無事に生まれてきたことを条件に未成年者控除の適用が認められます。

この場合、控除額は満額の200万円となります。

 

未成年者が相続する場合の注意点

未成年者は原則として法律行為を行えない決まりとなっています。
よって、相続における遺産分割や相続放棄も法律行為に当たるので、未成年者は代理人を立てて分割協議等を行うことになります。

この代理人は「法定代理人」と「特別代理人」の2つがあります。

法定代理人は未成年者に代わって法律行為をする人で、基本的には親等が代理人になりますが、親も相続人だと「利益相反行為(一方の利益が生じると自身が代理した者に不利益が生じること)」となり法定代理人になれません
よって、その場合は法定代理人ではなく、家庭裁判所への手続きで選任する特別代理人を立てる必要があります。

 

特別代理人の選任にも注意が必要

特別代理人は相続の結果によって利益が生じない方=相続に無関係な第三者であれば誰でもなることができます。
未成年者にとって叔父や従兄弟に当たる方も資格がありますが、親族を特別代理人に選任すると、親族間のトラブルに発展する危険がないとは言い切れません。

そのため、特別代理人を相続手続きの専門家に依頼することも考えておきましょう。

報酬はかかりますが、代理人の仕事はもちろん他の手続きを代行してもらえるメリットもあります。

 

まとめ

今回ご説明した通り、相続人に未成年者がいる場合、遺産分割や相続放棄などを行う場合は特別代理人が必要です。

相続税対策や申告・納付の手間も考えると、特別代理人を含め全ての手続きについて代行を専門家に依頼することもおすすめです。

 


 

未成年者控除への疑問、または遺産や相続税等、相続手続きのことでお悩みの方は熊本市中央区に拠点を構える熊本不動産相続税相談センターまでご相談ください。

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熊本市を中心に、熊本県全域に対応していますので是非ご相談ください。 初回相談は無料です。

投稿者プロフィール

藤本尚士
藤本尚士
熊本県玉名市出身。不動産相続に強い税理士。

経歴:
2007年 宅建業 エステート九州株式会社設立 代表取締役就任
2011年4月 税理士法人熊和パートナーズ入社・勤務
2014年8月 税理士法人新日本設立、その後、行政書士事務所設立 現在に至る

主な資格:
税理士、行政書士、相続手続相談士、相続診断士、宅建取引士、税務調査士®、不動産投資・運用アドバイザー®、医療経営アドバイザー、医療経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナー(FP)2級