相続コラムcolumn

不動産を相続する際に知っておきたいこと(後編)

相続手続きに関する相談は、熊本市中央区に拠点を構える熊本不動産相続税相談センターにお任せください。

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こんにちは、税理士の藤本尚士です。
前回に続き、本記事でも遺産に不動産がある際に知っておきたい事項をご紹介します。
是非参考にしてください。

 

不動産を相続した際の手順

不動産を相続する際の必要な手順についておさらいです。

(1)遺産について協議を行う

不動産を相続する手順として、まずは不動産を誰の名義にするか分割方法はどうするのかを話し合います。その際には、必ず相続人全員で協議を行います。

分割方法は前回の記事で解説した通り、以下の4つがあります。相続人全員でどの方法が良いのかその時の状況に合わせて選択します。

現物分割…個々の財産の形状や性質をそのまま分割する
代償分割…相続人一人または数人が遺産を相続し、他の相続人に代償で金銭を与える
換価分割…不動産を第三者に売却後、その売却金を相続分に応じて分配する
共有分割…不動産を各相続人の相続分に応じて共有名義で保有する

 

尚、話し合いは相続人全員が一堂に会する必要性はなく、電話や手紙でやりとりをして意見をまとめることでも大丈夫です。

 

(2)遺産分割協議書の作成

遺産分割協議で決定した内容を基に遺産分割協議書を作成します。その際に、相続人全員で協議した事項の明示、対象不動産の登記事項証明書の内容を書き写します。

協議書は相続人全員の署名・押印を持って完成となります。

 

(3)相続登記

相続登記とは不動産の登記名義を被相続人から相続人へ名義変更する事です。

相続登記に期限はありませんが、不動産の売却を行なったり、後々のトラブルを回避するためにも早めに名義変更を行いましょう

相続登記に必要な書類は、遺産分割協議書、被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までのすべてのもの)、相続人全員の住民票および印鑑証明書、固定資産評価証明書、不動産の全部事項証明書等々です。

やり方がわからなければ、相続手続きの専門家に代行してもらうのも良いでしょう。

 

相続税の確認

不動産は大変高価なものなので、相続税の対象になりやすいと言えます。

相続税の基礎控除額「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」を超える場合には相続税を納めなくてはなりません

不動産の評価額は査定する人間によって異なってきますので、正確な金額を算出するためにも相続と不動産に詳しい専門の税理士に評価を依頼しましょう。

専門家であればケースに応じて、特例の控除制度利用のアドバイスもしてくれます。

 

相続後のトラブルに注意

無事に不動産を相続した後にトラブルに会う可能性もあります。

以下では、トラブルの事例をご紹介していきます。

 

(1) 所有権が他人に移る

相続した不動産に住む場合や、賃貸物件として活用する場合は問題ありませんが、遠方の使っていない土地や建物を相続した場合などは注意が必要です。

民法では、取得時効というものがあり、これは他者の所有物を一定期間占有していた人に対して所有権の取得を認めるものです。

これは原則として20年間(長期取得時効)、平穏かつ公然に自己の所有の意思をもって不動産の占有を継続し、それを立証することにより、占有者の所有権の取得が可能となります。

ただし、占有開始時に自己の所有権があるものと信じ、かつ、そう考えることに過失がなかった場合(善意無過失)には,占有継続期間は10年(短期取得時効)となります。

もし、あなたが相続した土地が遠方にあり、仕事の都合上管理もできず、知らないうちに隣地の所有者が勝手にあなたの土地の一部を占有していたとしましょう。

占有を始めたときにそれが他人の財産権であると知り、または知らないことについて過失がある場合には20年、そうとは知らず、知らないことについて過失がないならば10年後に、占有部分の土地の所有権が占有者に移ってしまう可能性があります。

 

(2)損害賠償を請求される

例えば相続した不動産に老朽化した空き家があったとします。

突風などが原因で建物が倒壊し、隣の家の車や外壁を破壊してしまうと損害賠償責任を負う可能性があります

民法では、不動産の占有者(利用や管理を行なっている方)に事故などによる責任が発生し、それに対して過失がない場合、所有者が責任を負うと規定されています。

不動産にはこのようなリスクがあるため、管理ができない場合は売却してしまうのも良いでしょう。

 

トラブルが起こるケースとしては前述した2つのケースのように相続した不動産を放置したままでいることです。

あなたには落ち度がなくても、所有権を失ったり、損害賠償責任を負う怖れがあるということは覚えておきましょう。

不動産相続と専門税理士

 

まとめ

遺産相続に不動産がある場合はトラブルになる可能性も高いので注意が必要です。

円滑に遺産相続を進めるには、正しい知識と、想定される相続トラブルのケースを事前に把握しておくことが必要不可欠です。

不安な場合には相続手続きの専門家にご相談ください。

 


不動産の相続についてもう少し詳しく知りたい方、遺産や相続税等、相続手続きのことでお悩みの方は熊本市中央区に拠点を構える熊本不動産相続税相談センターまでご相談ください。

行政書士 、司法書士、弁護士、不動産鑑定士とも連携し、相続に関するお悩みを全て解決いたします。

熊本市を中心に、熊本県全域に対応していますので是非ご相談ください。 初回相談は無料です。

投稿者プロフィール

藤本尚士
藤本尚士
熊本県玉名市出身。不動産相続に強い税理士。

経歴:
2007年 宅建業 エステート九州株式会社設立 代表取締役就任
2011年4月 税理士法人熊和パートナーズ入社・勤務
2014年8月 税理士法人新日本設立、その後、行政書士事務所設立 現在に至る

主な資格:
税理士、行政書士、相続手続相談士、相続診断士、宅建取引士、税務調査士®、不動産投資・運用アドバイザー®、医療経営アドバイザー、医療経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナー(FP)2級