相続コラムcolumn

太陽光パネルと相続税

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こんにちは、税理士の藤本尚士です。
光熱費を抑える、余った電気を売る等の目的で自宅に太陽光パネルを設置する家庭も増えました。

この太陽光パネルは建物の設備として見ることができますが、相続時には不動産評価に含まれるか、別個のものとするかはケースによって分かれます。
具体的には、一体型か取付型かで、「不動産」と見るか「動産」と見るかとなるのです。

扱いが違えば、もちろん相続税評価の方法も異なります。

 

一体型か取付型かで評価方法が変わる
(1)一体型の場合

屋根材と太陽光パネルが一体になったものを、屋根の代わりに設置しているケースです。

この場合、設備が建物と一体化しているので、設備価値は建物の固定資産税評価額にも反映されています
相続における建物の評価は「家屋の固定資産税評価額×1.0」で算出しますが、この固定資産税評価額に太陽光パネルの価格がすでに含まれているので、別個の財産として費用計上を行う必要はありません

(通常の屋根と比較すると、太陽光パネル付きのものの方が評価基準の点数が高いため、固定資産税は高くなります。)

 

(2)取付型の場合

これは、太陽光パネルを後から取り付けたケースです。

後から設置されたため、建物の固定資産税評価額にパネルの価値が反映されていないので、設備価格を評価しなければなりません
この場合、太陽光パネルや設置器具等は「一般動産」として評価計算を行います。
相続における一般動産の評価は原則として、売買実例価額やその動産に詳しい専門家の意見を参考に評価することになっています。

ただ、中古家電や中古車とは違い、使用済みのパネルはほとんど市場に出回っていないので、その方法で評価を行うのは困難です。
よって、実務上は「再取得価額方式」で相続税評価額を算出します。

この方式は、新品財産の取得価額から経過年数に応じた減価償却費を控除するという方法です。
利用した年数が多ければ減価償却費も大きくなり、その分相続税評価額が下がります。

もし、経過年数が太陽光発電設備の耐用年数(17年)を超えているなら、評価額は0円です。
なお、太陽光パネルの購入・設置をローンで行う方もいますが、それらの借入金が相続開始時点で残っている場合、残高は債務控除の対象として、課税財産額から差し引くことができます。

 

太陽光パネル専用の土地を持っている場合

一般の家庭では中々ないケースですが、自宅の屋根に取り付けるのではなく、専用の土地に太陽光パネルを設置している方もいます。(主に太陽光発電を事業として行っている方が該当します。)

その場合、太陽光発電がある敷地も相続不動産として相続税の対象になります
その際の相続税評価額の計算は、一般的な土地とは違うものなので注意が必要です
太陽光発電設備専用の敷地は、「雑種地」に区分されます。

雑種地の評価方法は「売買実例地比準方式」と「近傍地比準方式」の2種類があり、原則は売買実例地比準方式で評価します。

    • 売買実例地比準方式…近隣の同じ種類の土地の売買実例を基に、方角・面積・利用状況を考慮して、評価額を算出。該当する実例がない場合、近傍地比準方式を利用する。

 

  • 近傍地比準方式…近隣の一般的な土地評価額を基に計算。場所によって基準になる土地も変わる。

 

まとめ

太陽光パネルを設置している場合、その設置方法(一体型か取付型か)で、相続での扱いが変わり、相続税評価の方法も異なってきます。

また、自宅以外に設置している場合は、その土地の扱いも宅地ではなく雑種地に区分され、評価方法が変わることも覚えておきましょう。

 


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投稿者プロフィール

藤本尚士
藤本尚士
熊本県玉名市出身。不動産相続に強い税理士。

経歴:
2007年 宅建業 エステート九州株式会社設立 代表取締役就任
2011年4月 税理士法人熊和パートナーズ入社・勤務
2014年8月 税理士法人新日本設立、その後、行政書士事務所設立 現在に至る

主な資格:
税理士、行政書士、相続手続相談士、相続診断士、宅建取引士、税務調査士®、不動産投資・運用アドバイザー®、医療経営アドバイザー、医療経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナー(FP)2級