相続コラムcolumn

リフォーム費用は相続税評価にどう影響するか

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こんにちは、税理士の藤本尚士です。
 

老朽化した建物を新築の状態に戻したり、キッチンのレイアウトを変えたり、壁紙を張り替えたり、これらのリフォームをすると相続税にどう影響するかご存知でしょうか。

実は簡単な修繕なら問題ありませんが、不動産の資産価値を高めるようなリフォームであった場合、その費用を計上しなければならないのです。

 

リフォーム費用も評価しなければならないのか?

建物の相続税評価は「固定資産税評価額×1.0」という数式で評価します。

固定資産税評価額とは固定資産税を賦課するためのものであり、該当不動産がある市町村が価格を決定します。
 

市町村側は数年に一度、航空写真などから不動産の調査をするので、家屋の増築をした場合には、固定資産税評価額も改訂されるようになります。

つまり、リフォーム費用が反映されるのです。
 

しかし、リフォーム直後に持ち主が亡くなったり、航空写真ではわからないようなリフォームを行っていた場合は、固定資産税評価額が改訂されず、リフォーム費用が反映されません。(実際、増築でなければ、役所はリフォームに気付きません。)

固定資産税評価額に反映されていなので、相続税評価は安くなってお得だと思うかもしれませんが、このような場合、「そのリフォーム部分の評価額を加算して物件の評価をする」ことになっています。
 

 

評価方法

評価方法は原則として、「リフォームを行った物件と状況の似た付近の建物の固定資産税評価額を基準として、構造の違いや、経過年数、用途等を加味して価格を算出する」というものです。

ただ、付近に状況の似た物件がない場合もあります。そのため、実務上は「リフォーム等に要した費用から償却費相当額を控除し、一定倍率を掛ける」という方法を用います。
 

リフォーム後の相続税評価=リフォームを行う前の固定資産税評価額+(リフォーム費用-亡くなるまでの償却費)×70%

※亡くなるまでの償却費は「リフォーム費用×90%×経過年数/耐用年数」で算出します。

 

金額を加味しなくて良い場合もある

リフォーム費用を計上するかどうかは、そのリフォームが資本的支出と認められるかで分かれます。

つまり、そのリフォームによって不動産の資産価値が上がる場合には、費用を計上しなければなりません
 

傷んできた柱を修繕したくらいであれば、評価対象になりません。

 

リフォームによるメリット

相続税評価に影響する分、リフォームにデメリットを感じるかも知れませんが、メリットもあります。

例えば、以下の二点は相続前のリフォームで得られるメリットです。

  • 課税対象の相続財産の減少
  • 相続人へのメリット

リフォームを行えば、工事費用などの支出が生じます。そのため、相続財産が減少するので、相続税の課税価格を下げることができます。

また、リフォーム費用をローンなどで行った場合、借入金は債務控除の対象なので、相続税の課税価格は減少します。
 

そして、被相続人が前もってリフォームを行っておけば、相続後に建物を利用する相続人の手間が軽減されますし、費用の持ち出しもありません。

 

まとめ

固定資産税評価額に反映されていない場合、相続税評価ではリフォーム費用を計上しなければなりません。

申告を忘れた場合、税務調査などで申告漏れを指摘される怖れがあります。
 

ただし、計上しなくて良い場合もあるので、しっかり見極めてください。

不安な場合は、専門の税理士に相談すると良いでしょう。

 


 
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投稿者プロフィール

藤本尚士
藤本尚士
熊本県玉名市出身。不動産相続に強い税理士。

経歴:
2007年 宅建業 エステート九州株式会社設立 代表取締役就任
2011年4月 税理士法人熊和パートナーズ入社・勤務
2014年8月 税理士法人新日本設立、その後、行政書士事務所設立 現在に至る

主な資格:
税理士、行政書士、相続手続相談士、相続診断士、宅建取引士、税務調査士®、不動産投資・運用アドバイザー®、医療経営アドバイザー、医療経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナー(FP)2級